放射能農作物をバイオエタノールにすることへの誤解?

概要

放射能入りの農作物をバイオエタノールにするというのは誰でも考え付くようで、「バイオエタノール セシウム」でWeb検索すると多くの検索結果が得られる。しかしその検索結果の多くはバイオエタノールの製造過程を誤解している。実際に使われている蒸留方法を使った場合は、影響の大きい放射性物質は蒸留後のエタノールには含まれない可能性が高い


最初に断っておく。私は化学と放射線の専門家ではない。この考察は間違っている可能性も高い。ちゃんとした実験結果があるわけでもない。
しかしネットではバイオエタノールは単なる蒸留で作られていると思っている人が多いため、この誤解を否定して、これよりは正しい考察をしてみよう。


危険な放射性物質って?

放射性物質には危険なものと(あまり?)危険でないものがある。(あまり?)危険でないものの代表がカリウム
http://www.atomin.go.jp/reference/radiation/body/index05.html

体重60kgの人間の身体には平均 0.14kg のカリウムがあって、
そのうち0.01% が放射性のカリウム40である。
この人体中の カリウム40は毎秒4,000回崩壊してガンマ線を出している。
このように人体からも毎秒数千個の放射線が出ている

この考察によると
http://ameblo.jp/makirin1230/entry-10927802058.html
カリウムは全身に均等に分散しているので影響は大したことはない。一方、放射性ヨウ素甲状腺に集積されるので集中砲火を浴びた組織が大きなダメージを受ける。

こうした影響の強い放射性物質だけを集めた一覧がないものか探してみた。以下の一覧がそうであるようだ
(Webの検索結果がノイズだらけでこれより良さそうなリンクをみつけれなかった)

OKWave >放射性物質の一覧は無いでしょうか?
http://okwave.jp/qa/q1304525.html

ウラン・プルトニウムラドンアメリシウム・
トリウム・セシウムストロンチウム

バイオエタノールへの誤解

放射能入りの農作物をバイオエタノールにするというのは誰でも考え付くようで、「バイオエタノール セシウム」でWeb検索すると多くの検索結果が得られる。しかしその検索結果の多くはバイオエタノールの製造過程を誤解している。以下に典型的な例を示す。

質問!ITmedia > バイオエタノールセシウム137の分離
http://qa.itmedia.co.jp/qa6648092.html

たぶん100℃以下でのアルコール分離を行い燃料用となるはずです。
ここで、ストロンチウムとはオサラバできます。
沸点からするとセシウム137と
ノーマルセシウムカリウム(他のアルカリ金属)は
アルコール液にも含まれる可能性が高いですね。

「エタノール 共沸」で検索してみればわかるがアルコールと水は単なる蒸留では分離できない。しかしネットの検索結果はどれも単純な蒸留を前提にしており、共沸(異種混合された液体は沸点が変わる)をまったく考慮していない。

セシウムカリウムとよく似た性質があるとも指摘されている。カリウムに似ているなら塩を混ぜたこの蒸留実験との類推からもセシウムは蒸留後の液体には含まれない可能性は高い
http://www.amasci.net/misc/ethanol-distillation.php?lang=eng
この実験ではCaOを使っているが水と結合しやすいイオンならカリウムでもセシウムでも同様の結果になると推測される。

アルコールを水から分離する典型的な方法は蒸留塔と言われる重力を利用した分離方法だ。この方法は重力を利用しているため重量のある前述の危険な放射性物質は分離できる可能性は高い。

エタノールは炭素、水素、酸素のみで構成されているため、危険な放射性物質は含まれない。水素の放射性物質であるトリチウムが危険という人もいたがトリチウムすぐに水と一緒に排出されるため危険ではなく、腕時計の蛍光塗料などにも使われているようだ

ただし、これらは全て考察と類推にすぎず、本当のところどうなるかは実験しないとわからない。誰か実験しているだろうと検索してみたがそれらしいものは見つからなかった。前述の「誤解」を信じて誰も実験してないのだろうか。少なくともネットの検索上位に出てくる考察は間違っている可能性が高いということを指摘しておく。