地震予知に見える御用学者システムの弊害

前回、物理の初歩知識だけで地震予測システムが変だということを指摘した

http://d.hatena.ne.jp/mytestdone/20110329/1301457410

今回は文献や論文を調べることでそれが再確認できたということを報告する。そして御用学者システムがこの原因をよく説明するという考察をする。


方法は簡単だ。似たようなパターン認識問題で、(地震と違って)うまくいっている医療診断と比較するだけだ。


地震について調べる前に類似技術であるCT画像を使った医療診断の精度を見てみよう。

http://www.intechopen.com/download/pdf/pdfs_id/9162
これのFig16を見てみよう。健康なのを間違って病気と判定するのが10%ぐらいの危険側にみても80%で病気をみつけることができている。人間の医師の診断が介在している場合はもっと精度が上がって100%になる ( http://nv-med.mtpro.jp/jsrt/pdf/2000/56_6/JSRT5606_10.pdf のFig2を見てみよう)

地震の波動から超音波CTと同じことをする手法には、地震モグラフィ(geo-tomography)という名前がついているようだ(google scholarでgeo-tomographyを検索すると1件しかデータがなかったので、以下ではgoogleをノーマルで検索した結果を使ったことを前もって断わっておく)


googleの検索結果から推測すると(検索上位の文献がみんな参照していた)地震予知の分野で有望と思われているのは
RTL algorithm
http://wwweic.eri.u-tokyo.ac.jp/viewdoc/ZISINyosoku/12nagao.pdf
というものようだ。ここにはその計算原理も解説されいる。しかし外れすぎて使えないと結論づけられている
http://bemlar.ism.ac.jp/zhuang/pubs/zechar10.pdf
>the predictions are marginally unsuccessful


医療画像との比較から言えばこの方法はダメだ。医療CT画像診断では、画像情報を全部使ってパターン認識しているのに、この方法は過去の地震履歴しか使っていないのだ。地震モグラフィ(geo-tomography)で出てきた画像を全部使えばいいのに何故それをしないんだ。まさかこんな単純なことに気がつかないほど馬鹿じゃないだろうと思って一応検索した

検索キーワード

geo-tomography quake ROC curve
geo-tomography quake recall precision
geo-tomography quake false-alarm
geo-tomography quake t-test
geo-tomography quake Chi-square test

で検索したがそれらしいものが出てこない。何か見落としているのだろうか。quake というキーワードが入っているのは、これを入れないと医療画像の情報ばっかり出てくるため入れた。


googleの検索結果を信用するなら

  • 素人に毛が生えた程度の人間でもわかることを専門家が何故か行わない

という結論になる。ここはgoogleを信用するとして先に進もう。

これは何故なのだろうか。私自身の技術者としての経験から推測するなら、御用学者のシステムの弊害だろうと考える。御用学者のシステムは実は原子力以外にもあらゆる分野にある。一番わかりやすいのはコンピュータのオープンソースプロジェクトを良く観察してみるといい(例えばReiserFSの人が投獄されたりしている騒動とかだ)。素人が考え付くことが何故か実行出来ないシステムがあちこちにあるのだ。それはマイクロソフトの利益独占の為だったりいろいろな理由があるようだけど、間違いなく地震予知の世界にも同じ様なシステムはあるようだ。

広瀬隆氏が御用学者システムの本質を鋭く見抜いている
http://www.asyura2.com/11/genpatu7/msg/941.html
これは実は原子力以外の様々な分野にあることを多くの技術者は知っているはずだ。単に東電がマイクロソフトなどに入れ換わったりしているだけだ。今はこれを匿名で告発するいい機会ではないだろうか。