田中宇の言う(隠れ)多極主義者に関する考察

近年、アメリカの自由競争社会システムや新自由主義の問題が指摘されている(例えばマイケル・ムーアの映画はほとんどがそういう話題だ)。国の富を数%の人が独占するシステムは、かつての封建社会と同じで、一部の特権階級以外にやる気を持った人がいなくなる。そこで映画やドラマを使って本当はありえないような「将来の希望」を信じ込ませて奴隷を働かせるシステムが導入されているという考察を以前にした http://testdonetest.blogspot.com/2010/08/blog-post.html
特に海外ドラマでもSF系のドラマ(スターゲイトが特にひどい)は、この手の扇動のオンパレードだ。技術系労働者の扱いの酷さはプログラマーの間で有名な「ハッカーと画家」という本でもとりあげられている。

無理やり扇動して労働者を働かせるシステムの国が、本当にあらゆる分野で世界一なのだろうか。本当は軍事力にしても弱いのではないかという疑問が湧く。

例えば

なぜ、日本は50年間も旅客機をつくれなかったのか (だいわ文庫) [文庫]
前間 孝則 (著)

という本の最後の章には、日本で生産された戦闘機F2(F16の改造だけど)がほとんど故障や墜落をしなかったのに対し、アメリカから買ったF-15が何度も墜落したり故障したりひどかった、ということが書かれている。
最強のステルス爆撃機だったはずのF-117はコソボで格安の武器に撃ち落とされた後、全機が退役した(謎のベールに包むことでいかにも強そうな演出をすることはロシアのフォージャーもやった。実際はまったく使えない飛行機だった)
ベトナム戦争では格安の武器しかもたないゲリラに負けた


アメリカは本当は強くないということを確信した人がアメリカにいたとする。自分達の優位を保つために次に何をするだろうか。ありえそうなのは、アメリカを弱体化した最大の要因である「新自由主義」を他国にも広めることだろう。一方、アメリカ最強の幻想を信じる人は軍部などに沢山いるかもしれない。そこで
アメリカは最強なんだ」VS「アメリカは本当は弱いんだ」
の戦いが内部で行われているのが、覇権主義者と田中宇の言う(隠れ)多極主義者の戦いの実態なのではないだろうか。そう思うと私は納得がいく。わざと自分を弱くして他人の発展に寄与する(隠れ)多極主義者なんてものが存在するわけない。そんな奉仕事業が国の主導を握るなんてありえない。

アメリカは本当は強くない可能性がある。日本の政治家や官僚は検討したことがあるのだろうか。